流動的なものを精密に描くアニメーションと、色彩がカラフルなのに一体感がある世界観が素敵!
注意
かなり長文の感想です!映画の作中で好きなシーンやぐっときたポイントの自分の備忘録!
画像は公式ホームページ、公式SNSより引用
ピクサー最新作 マイ・エレメント
劇場公開日:2023年8月4日(米国 6月16日)
上映時間:1時間41分(101分)
監督:ピーター・ソーン
脚本: ジョン・ホバーグ 他
火・水・土・風のエレメント(元素)が共に暮らす都市エレメント・シティを舞台に、火のエレメントであるエンバーと水のエレメントであるウェイドの絆を描いた作品
映画の総評 「シンプルなストーリーだからこそ、誰もが自分を重ねられる」
私の住んでいる地域は吹替版しか公開されてなさそうだったので、吹替で観てきました
以下、ネタバレを大いに含みます!ご注意ください
映画全体の感想
●映画のタイトルは「マイ・エレメント(原題: Elemental)」
Elementalは四元素(しげんそ)を表す単語で、この世界の物質は火、水、土地、空気の4つの元素から構成されるとする概念のこと。(英和辞書参考)
● 炎の揺らめき、水に光が反射する輝き、流動的なものを精密に描くアニメーションと、色彩がカラフルなのに一体感がある、あの綺麗な世界観に引き込まれるのは一瞬でした。
この感覚、前にも感じたなぁと思ったら、ズートピアですね!
多様なものが綺麗に組み合わさって調和している素敵な街で、いつか住んでみたいなっておもわず思っちゃいます
● 映画の冒頭では、そんな素敵な街の中の一角には周りに溶け込めず、火のエレメント達だけが暮らすダウンタウンがひっそりと佇んでいて、その異様な光景が印象付けられます
●「水をさすんじゃない!」、「土禁だ!」「出禁ね」など、セリフの端々にエレメントの要素が散りばめられていて面白かったですね!きっと雑貨屋さんの売り物や、エレメント・シティの看板や標識にも、そういうクスっと笑える小ネタが仕込まれていそうですよね!ディズニープラスに追加されたら、ゆっくり探してみたいな♪
●”相容れない相手と結ばれるストーリー”ってもう使い古されている展開でしょ、って思っていても感動せずにはいられないのはなぜでしょうね?
映画の割と早い段階で泣けてきちゃって、映画が終わるころにはハンカチがすごいことになってました(汚い)
●今回のストーリーで特に好きだったのは、ウェイドとの出会いによってエンバーが”新しい自分”を見つける部分だと思うんです。
◆ デートの途中にエンバーは鉱石を踏んで色が変わるシーン
◆ 砂浜で土嚢を作っている時に、ガラス細工を披露するシーン
◆ 「自分が何をしたいのか、考えたこともなかった。」小さい頃からお店のお手伝いをしてきたエンバーが自分の心に向き合うシーン
普段何気なくやっていることが、他人からみたらすごい才能だと気づかされた(褒めてもらえた)。だれもが自分の中に無限の可能性を秘めている。
そういう”見えてなかったことが可視化される”体験って、自分だけでは気づかないと思うんです。でも、誰でもいいわけじゃなくて、素敵な相手に出会ったからこそ”化学反応のように”自分が輝く場所を見つけられる。
エレメントをキャラクターに用いることで、出会いによる化学反応がイメージしやすいのがPIXARならではで好きだなと感じました。
別に特別なことじゃなくて、ありふれた現象だし、自分にも過去に親や友達や先生なんかに”可視化してもらった”経験があります。あと、過去のウェイドのように素直に言葉を伝えられず後悔したことも。
「シンプルなストーリー」だからこそ、自分の過去の経験と主人公たちを重ねて見えるからこそ、あれだけ心に響く作品になるんだなって思いました。
各キャラクターへの感想
エンバー・ルーメン 声:リーア・ルイス 日本語版:川口春奈
主人公。火のエレメントの女性。父親の雑貨屋さんを継ぐために修行中
●主人公のエンバーは短気で怒りっぽいけど、それは父の大事なお店を守りたいっていう責任感の表れで、家族思いで誠実な人なんだなって伝わる魅力的な主人公
●バイクに乗って配達に行く活発な一面や、デートのときには子供たちに煙を使った手遊びをして楽しませる可愛らしい部分のギャップがチャーミングで、ウェイドを通してエンバーのことを好きになっちゃいます
●鉱石の装飾が特徴的なワンピースが似合っていて可愛いですよね!炎の熱を遮断するような設計に世界観が作り込まれていて「神は細部に宿る」ってこういうことかって感嘆しました。PIXARすごい。
●お店のショーケースのガラスを割るたびに、破片を溶解して、ひとかたまりにして、伸ばして形成。その生活の中で積み重ねられた何気ない動作を、ウェイドやその家族が褒めてくれる。
普段何気なくやっていることが、他人からみたらすごい才能だと気づかされたことって誰にでも経験があると思います「こんな普通のことを褒めてくれるの?」という驚きと、じんわり広がってニヤけちゃうような温かい嬉しさがありますよね
そういう人との関りの中で発生する”何気ないやり取り”のさりげないシーンですが、心にはグッと刺さりました
●相手を受け入れたいけど怖い、感情のセーブが上手くいかず周りのものを壊してしまう。この辺りはアナ雪のエルサみたいだなって思いながらも、自分にも当てはまるなぁって共感しながら観ていました。
生理中はこんな感じになりません?私は些細なことでイライラして、八つ当たりして、素直に優しさを受け取れない自分に嫌悪して…そんな時でも寄り添ってくれるウェイドみたいな人がそばにいたら、そりゃ好きになっちゃいますよね!
●ビビステリアの花の幻想的なシーン、何度でもリピートして見たくなります!!!
「ビビステリアの花をみることが夢だった」エンバーが言っていたことを、ウェイドが叶えてくれることが、エンバーにとってどれだけ嬉しかったかと思うと、胸がいっぱいになります。火のエレメントの悲願が叶った瞬間でもありますよね
●ビビステリアの花を見た後に、ハプニングを乗り越えて、お互いを傷つけることなく触れ合うことができることに気づき、ダンスするシーンへの流れが綺麗でしたね
ウェイド・リップル 声: マムドゥ・アチー 日本語版:玉森裕太
ハプニングによって出会った水のエレメントの男性
●ウェイドは、涙もろくて、仕事も長く続かないようなおっちょこちぃな反面、誰とでもすぐに打ち解けられる親和性の高い(水だけに?)性格
●裏表がないまっすぐな性格で、出まかせや嘘をつくのも苦手、だから彼の言葉にはおべっかや下心はなく、染みわたるように心に響きますよね
すぐに癇癪を起すことに落ち込むエンバーに「怒りは心が何かを伝えたがってる」ってセリフがあったと思いますが、すごく心に染みました
●”後で後悔しないように、思ったことは相手に伝える”ウェイドの行動指針はシンプルですが、実行に移すのって難しいですよね。毎日顔を合わせている人とかに改まって感謝や愛情を伝えるのって気恥ずかしいじゃないですか。
それを実行できているウェイドはすごくかっこいい
●泣かせゲームの最初にエンバーが言った「泣いたことないの」ってセリフと、
そんなエンバーの心を動かす、ウェイドの好意がストレートに伝わるシーンも大好きです
●エンバーの光が当たることでどんどんと花開いていくビビステリア。
普段の真面目でキリっと仕事をしているエンバーが、あんな子供のような笑顔で嬉しそうにしていたら、見ているこちらまで嬉しくなっちゃいます!あのシーンのウェイドの温かいまなざし、慈しみに溢れていて、アニメーターの表現力すごすぎない!?
スペルや意味が合っているか分かりませんが、
vivus(ビビス)はラテン語で”生きている”という形容詞
terrier(テリア)はフランス語に由来し、語源はラテン語で”土、地面”を表すそうです。
ビビステリアはどんなに過酷な環境でも咲く花。
大地に根を張って、育つために水分を吸って、光合成をするのに空気と光が必要。
エレメントが全部そろわないと見れない花なんだなって思いました。
今はダウンタウンにひっそり暮らしている火のエレメント達も、エレメント・シティに欠かせない存在っていうことの示唆かな?
●エンバーにどんなに拒絶されても、街の異変に気付いて心配で駆けつけるウェイドは王子様みたいでした、いやヒーローかな?
泣かせゲームが最後に回収されるなんて…感動で泣けるのに笑える。ウェイドらしさが出ていて好きなエンディングでした
バーニー・ルーメン 声:ロニー・デル・カルメン 日本語版:楠見尚己
エンバーの父親、火のエレメントの男性
●娘の成長を間近で見守る、素敵な父親だなって思いました
●お店が水浸しになったことに”嘘をついた”ことには怒っても、”娘の新しい挑戦”には何のためらいもなく送り出してくれる
●家族の証である青色の炎を大事にして、家族の伝統を重んじていて、このあたりのストーリーは「私ときどきレッサーパンダ」を思い出しました
ずっと日本で生まれ育った私にとって、移住した人々や、その2世の生活のすべてを汲み取るのは難しいですが、新しい土地で1から生活を築くことの大変さや、故郷に残してきた家族への後悔を見てきたエンバーにとって、自分が挑戦したいことを素直に打ち明けるのがどれだけ難しいのはすぐに理解できました
シンダー・ルーメン 声:シーラ・オンミ 日本語版:塩田朋子
エンバーの母親、バーニーの妻である火のエレメントの女性
●エンバーとウェイドを座らせて、2人の愛称を占いをするシーンが印象的でした
ウェイドが光を屈折させて火をつけるのは頭いい~!ってなりました
水のエレメントの彼にとっては普通なんですかね?日向ぼっこしてたら、ボヤ騒ぎになったみないなのがエレメント・シティでは一般的だったら面白いですね
●夫のバーニーと仲が良くて、笑いが絶えない素敵な家族だなって微笑ましくなりました
●バーニーが故郷の家族とお別れした時に最大の敬意を示すお辞儀を父(エンバーの祖父)に返してもらえなかった心残りが妻のシンダーにもあったのでしょうね
エンバーと船着き場でお別れするときに敬意を示すお辞儀をお互いが送り合って、さぞ安心したんだろうな
ブルック・リップル 声:キャサリン・オハラ 日本語版:山像かおり
ウェイドの母親で建築家である水の女性
●建築家をしており、家族の中には画家などアーティストが多い芸術タイプの家系で、街の中心に住んでいそうな対比(エンバー家との)が面白かったです
火のエレメントはエレメント・シティに移住してからの歴史が浅く、街の設備も水・土・風に適した作りになっていますよね
●船着き場でお別れするときに、エンバーの家族とウェイド親子のリアクションの違いに”家族”が詰まっていて、温かみがあっていいですよね。家族の形はそれぞれですもんね
ゲイル・キュミュラス 声:ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ 日本語版:MEGUMI
エレメント・シティの市役所で働く風のエレメント。ウェイドの上司
●ガスケットボール・チームのウィンディーズの大ファン
ガスケットボールっていう、とても馴染みがあるのに新感覚のスポーツ!
きっと他のエレメントにも、それぞれの競技でプロスポーツチームがありそうですよね
●ビビステリアの花を見るために協力してくれるとは思ってもいませんでした!あのアイデアはウェイドが提案したのかな
まとめ
これだけの長文を読んでくださった皆様お疲れ様です。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今回の映画では土のエレメントの出番は少なかったので、短編作品とかで土のエレメント達の視点からエレメント・シティを見てみたいですね♪
「マイ・エレメント」と同時上映された「カールじいさんのデート」の解説記事はこちらから!
https://binoblog.com/short-film-carls-date/[PR]
ディズニー作品を見るなら【Disney+(ディズニープラス)】
コメント